TNak No Reflection

プログレッシヴ・ロックと本を愛する3流プログラマーが"熟考せずに"書くブログ。

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書評(経済):『まぐれ』 (ダイヤモンド社)ナシーム・ニコラス・タレブ著 望月衛訳 ☆☆☆☆★


うーん。面白い。

色んな意味で期待を裏切られる本だった。
"ビジネス書"的な、項目毎に分かれていて、優しく解説している本だと思ったら、文体は散文調だけど、言っている事はインテリ的で理にかなっているという感じ。速読は通じず、読むのにかなり時間が
かかった。
内容的には統計学の見地から投資の世界を始めとする世の中の現象を嘲笑してる本で、「言われてみれば確かにそうだ。」と何度も思わせられた。

副題に"投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか"とついているが、これは誤解を招くと思う。むしろ投資以外の一般的なリスク管理やメディア・リテラシーとかにも十分役立つので、投資をやる人以外にも広く読まれるべき本。

○印象に残った点
・どんなに適当にしていても一定の割合で儲かる投資家は出てくる。それはたまたま直近のトレンドに自分の方針がたまたま嵌っただけの場合が多い。
・長期的にコツコツ利益が上がる証券でも、(デフォルトなどで)一気に価値を失うものより、普段はジリジリ損を食らうが、たまにガーンと騰がる証券の方が良い(筆者のファンドではこの方針を取っているらしい)。そのことは確率論的に見れば明らかだが、人間の性質として、普段ジリジリ損を食らうのは堪え難い。
・期待リターンが年率15%、ボラティリティ(変動)10%の時、儲かる確率が1年で93%。この時任意の一秒で儲かる確率は50.02%、一日だと54% → 頻繁にポートフィリオを調べると精神的にくたびれる
・現実の事象は非線形だが、人間の脳はそれを扱えるようにできていない。
・私たちの脳は「モジュール」単位で働く。興味深いのは問題の提示のされ方が異なると、同じ問題でも異なるモジュールが使われる事がある。

○今回の一曲
Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man

A bullet had found him    銃弾が彼を捉えた
His blood ran as he cried   彼は血を流し泣き叫ぶ 
No money could save him  カネは彼を救えなかった
So he laid down and he died そして倒れ、息絶えた



書評(経済):『過剰と破壊の経済学』 池田信夫 (アスキー新書) ☆☆☆☆★



◎感想
著作権、地上デジタルテレビの非効率性、日本のIT業界の構造の問題、新しい時代のイノベーションへの補助金におけるアセットアロケーション的アプローチの重要性等、氏のブログをRSSに登録して読んでいる自分にとって、「結論」の部分はそれ程目新しくはなかった。リバタリアン的な結論は理論的に自分共感できるけれど、実際には既得権益層の自己防衛本能が障壁となるだろう。要はそこをどううまく丸め込むかが問題だろうなあ。
でも高度経済成長の頃のやり方では通じなくなってる今、自分のような若年層にとって、上の世代にこういう人がいて、しかもそのブログが人気を誇っていることは励みになる。

本の前半部は主に「半導体の集積度は、18ヶ月で2倍になる」というムーアの法則にまつわる歴史的、技術的背景の説明で、その手の話題についてきちんとまとめて勉強した事がなかったので、勉強になった。

◎今回の一曲
Crosby, Stills, Nash, and Young "Ohio"
ブログによると氏のベストソングだという。
歌詞の背景について調べてみると、解説しているブログを見つけた。
・・・氏のブログで知って聴いたが、名曲だと思う。