うーん。面白い。
色んな意味で期待を裏切られる本だった。
"ビジネス書"的な、項目毎に分かれていて、優しく解説している本だと思ったら、文体は散文調だけど、言っている事はインテリ的で理にかなっているという感じ。速読は通じず、読むのにかなり時間が
かかった。
内容的には統計学の見地から投資の世界を始めとする世の中の現象を嘲笑してる本で、「言われてみれば確かにそうだ。」と何度も思わせられた。
副題に"投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか"とついているが、これは誤解を招くと思う。むしろ投資以外の一般的なリスク管理やメディア・リテラシーとかにも十分役立つので、投資をやる人以外にも広く読まれるべき本。
○印象に残った点
・どんなに適当にしていても一定の割合で儲かる投資家は出てくる。それはたまたま直近のトレンドに自分の方針がたまたま嵌っただけの場合が多い。
・長期的にコツコツ利益が上がる証券でも、(デフォルトなどで)一気に価値を失うものより、普段はジリジリ損を食らうが、たまにガーンと騰がる証券の方が良い(筆者のファンドではこの方針を取っているらしい)。そのことは確率論的に見れば明らかだが、人間の性質として、普段ジリジリ損を食らうのは堪え難い。
・期待リターンが年率15%、ボラティリティ(変動)10%の時、儲かる確率が1年で93%。この時任意の一秒で儲かる確率は50.02%、一日だと54% → 頻繁にポートフィリオを調べると精神的にくたびれる
・現実の事象は非線形だが、人間の脳はそれを扱えるようにできていない。
・私たちの脳は「モジュール」単位で働く。興味深いのは問題の提示のされ方が異なると、同じ問題でも異なるモジュールが使われる事がある。
○今回の一曲
Emerson, Lake & Palmer - Lucky Man
A bullet had found him 銃弾が彼を捉えた
His blood ran as he cried 彼は血を流し泣き叫ぶ
No money could save him カネは彼を救えなかった
So he laid down and he died そして倒れ、息絶えた
